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大学院特別講義十四週目

 大学院特別講義十四週目(7/20)、今回は外部講師として黒川雅之建築設計事務所の代表をしていらっしゃる黒川 雅之さんに講義をしていただいた。

 

 黒川さんは講義を始める前に、「デザイン科学科とは?」という問いを投げかけた。「理論的にデザインを進めることを学ぶこと」という回答が出たが、黒川さんはデザインをする際は感覚を大事にしている、とおっしゃっていた。この講義の大きなテーマとして黒川さんは「揺れる」ということを設定した。すべてのものは揺らぎの中にあって、揺れているというのは最も正しいものの在り方なのだという。また、美しいものの定義付けというのは、命をかけてもいいと思えるものだともおっしゃっていた。いいものは人によって基準がまちまちだが、美しいものには命をかけてもいいと思える、それくらいの感動を生み出すこと、作ることが仕事なのだという。不安定に揺れる世界の中で調和を得ようと絶えず揺れ続けている、不安定なもの。そういったものに美しさを感じるとおっしゃった。

 

 調和の中から人はものを生み出すのではなく、混沌の中から生み出すのだという。一度今まで作ってきたもの、積み上げてきたものをすべて壊す、なかったことにする。それらを混ぜた混沌の中から引っ張り出してきたものが面白いものである。これはまさにイノヴェーションであると感じた。人々が考えもしないもの、それを作るのに一度もともとある概念を打ち壊すのが重要だと感じた。また整った形はきれいではあるが、面白くないなと感じた。不安定な形をしているため、見る方を不安にさせるが、それぞれの要素が緊張感をピンと張り詰めてバランスを取っているような作品に、自分は美しさを感じているのだなと感じた。黒川さんの講義は感覚的なものに聞こえるが、デザインの本質を捉えたお話であったように感じる。問題を理論的に解決することも重要ではあるが、研ぎ澄まされた感覚には追いつけない。その感覚を身につけるために、問題発見に対する姿勢を変えていかなければいけないなと感じた。