大学院特別講義九週目


 大学院特別講義九週目(6/15)、今回は外部講師としてインサイトフォースで代表をしていらっしゃる山口 義宏さんに講義をしていただいた。

 

 普段コンサル事業をしていらっしゃる山口さんのお話はブランディングに関するお話がメインであった。まずブランドというものの定義付けとして、ブランドの中にある二つの要素がある。まず生活者の頭の中の識別記号としての:Brand Identity(ロゴ、形、色など)。それと知覚価値としてのブランド:Brand Value(カテゴリ、人格、ベネフィット、エビデンスなど)。ブランドの一般的な意味で知られる「高級」は知覚価値のひとつでブランドを意味するものではなく、ブランドは一貫性のある体験の蓄積で創られるのだという。

 ブランド価値を決める要素として、商品、サービス、広告、販売店、スタッフ、ウェブサイトなどの企業が直接コントロールできるものと消費者発信メディア、知人の評判などの企業が直接コントロールできないものがある。記号も価値も一貫性がなければブランドとして記憶されず、パッと見てわかるようなものになって初めてブランディングが成功したと言える。

 

 デザイナーの仕事が物の形を美しく作るだけでなく、企業ブランディングなどもあるというのが世に広まってきている昨今において、実際に数々の企業コンサルを行っている山口さんの生のお話はとても興味深かった。お話の中でブランディングをするのに重要なのは見極め力、洞察力であると考える。企業ブランドに一貫性を持たせる際その企業の特徴や得意とすることを見極める力はもちろんの事、企業の特徴をユーザーに押し付けるのではなく、市場ニーズの流れを見極める力が絶対的に必要な能力なのではないだろうか。他にも分析力なども必要になってくる。良いブランディングを行うためには様々な能力を身につけなければならないが、これらの能力は他の領域でのデザイン活動においても役に立つだろう。これからデザイナーとして生きて行くのに今から意識していこうと思う。